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やきものが登場する物語
Vol.24
製陶王国を築いた父と子 
大倉孫兵衛と大倉和親

(せいとうおうこくをきずいたちちとこ)
発行所
株式会社晶文社
著者
砂川幸雄
定価
1800円
ジャンル
ビジネスノンフィクション

この経営者を見よ!時代に先駆けて次々と未知の事業に挑んだ実業家父子の気骨ある生涯。
衛生陶器のTOTO。タイルのINAX。碍子の日本ガイシ。プラグの日本特殊陶業。洋食器のノリタケ。高級磁器の大倉陶園。これらの企業を創立し、世界のトップブランドに育てあげた大倉孫兵衛と大倉和親父子の生涯を描き、今日のトヨタやソニーにひきつがれた日本の製造業の強さの源泉に迫る。
(カバー広告より)

 明治時代から大正時代にかけて、日本の近代輸出業を牽引した森村組。彼等が扱った陶磁器は、現在も「オールドノリタケ」といって今も多くの愛好家によって親しまれています。その森村組のアートディレクターであり、日本初の洋式磁器焼成窯をもつ「日本陶器合名会社」を作った大倉孫兵衛。その息子である和親。この本は日本製造業の基礎を作ったとさえ言われる二人の功績を伝えるビジネス書です。

「日本陶器合名会社」の陶磁器生産を皮切りに、彼等が行なった事業は衛生陶器、スパークプラグ、タイル、土管、と製陶を中心とした多くの分野に広がり、TOTO、INAXといったトップ企業として現在もその繁栄はゆるぎないものとなっています。
 彼等が辿った瀬戸の繁栄の軌跡と対象に、肥前・有田は、果たしてどのような運命にあったか、それが簡単に本書でも示されています。

「日本陶器合名会社の二十五年も前に設立された佐賀県有田の「精磁会社」は、政府の補助金をもらい、最新鋭のフランス式工場設備によって陶磁器の生産を始めたが、本格創業に入ってから二年後には解散した。」
 森村組時代に語った大倉孫兵衛の次の言葉は、不況に喘ぐ現在の経済状況の中でも、傾聴に値する一文です。
「無利息で政府の金を借りて商売をすると、真剣に商売ができなくなる。無利息の資本があると、それに気をとられて、ついついなまける心になる。」

 製陶王国を築いた父と子の生涯を通して、成功するための経営姿勢とはなにかを知ることができる一冊です。
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