庶民は必要な量の酒をその時々に、小分けしてもらって購入していましたので、店先には大きな容器に大量の酒がならべられていたのでしょう。瀬戸樽はそういった店先の貯蔵用または運搬用として使用されていました。使用されていた年代ははっきりしませんが、昭和初期までは活躍していたようです。
樽の上部には持ち運びに便利なように、取っ手がついています。サイズの小さいものは竹などでつくった持ち手がつけれていたようです。底のほうには注ぎ口があり、木の栓で蓋をしていました。店先に並べた時の宣伝効果を狙って、瀬戸樽にも貧乏徳利のように酒銘が書かれたり、中には絵が描いてあるものもあります。今で言うポップ広告の役割も果たしていたのです。また瀬戸樽は味噌の販売店などでも使用されていました。 |
上部には「五升」の文字が見えます。胴部には酒銘「森の露」と書かれています。瀬戸樽は店によっては「カメ」「酒樽」と言っていたようです。
瀬戸樽
昭和初期
C大平庵酒造資料館所蔵
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こちらは少し小さめサイズで裏側に「三升詰」と記されています。胴部には酒銘「大平」の文字と富士山と思われる山の絵が描かれています。
瀬戸樽
昭和初期
C大平庵酒造資料館所蔵
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下部のものが、やきものでできたじょうごだいで、上部のものは金属製のじょうごです。店頭で量り分けした酒をじょうごを使って、小売用の徳利に注いでいました。そのじょうごの置き場としてじょうごだいを使用していました。
じょうごだい
年代不詳
C大平庵酒造資料館所蔵
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