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唐館室内之図 名所江戸百景 月の岬
広重 C国立国会図書館所蔵
絵で見るやきものの世界
遊興の片隅で
《その3》
参考作品
染付波涛鯉文大徳利
染付波涛鯉文大徳利
19世紀
C佐賀県立九州陶磁文化館所蔵
染付童子詩句大徳利
染付童子詩句大徳利
慶応3年(1867年)
C佐賀県立九州陶磁文化館所蔵

※参考作品は必ずしも、 絵画に描かれている場面と同年代とは限りません。ご了承ください。
photo 場面は「見通し」と呼ばれる遊里の客座敷で、楽しく騒々しかった酒宴も終わろうとしているところです。こうした場所に出される料理や酒、菓子などは台の物と呼ばれ、遊女たちも台の物の数で客を見定めていたようです。
photo 座敷の奥にはまだ器が片付けられていないようですが、左側からたばこ盆の上に載った灰ふきと火入れ、足の付いた盃洗、まだ料理が残っている大皿があります。廊下には草文のような大徳利と青海波文の鉢が置いてあります。ところで地方によっては徳利のことを「すず」と呼ぶそうですが、昔は徳利は陶磁器製のものがなく、錫製だったのだそうです。江戸時代に錫製と陶磁器製の両方が使用されていましたが、次第に陶磁器製が好まれるようになりました。これは「和漢三才図会(1712年頃の図入り百科事典)」に使い始めの錫製からは毒を生じる傾向があると説明されていることから、害のない陶磁器が普及していったのだと推測されます。
※盃洗についてはこちら→
※灰ふきと火入れについてはこちら→
※青海波文についてはこちら→

その2
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