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やきものの技法VOL.17 瑠璃釉(るりゆう)


 本焼用の透明釉の中に呉須を入れて作る瑠璃色の釉薬。単に瑠璃と呼ぶ場合は、釉薬を意味する場合と、瑠璃釉の掛かった作品を指す場合がある。陶器に用いられることはほとんどなく、磁器によく使われる。

 染付が作られている窯場は、同じ呉須を使うため基本的には瑠璃釉が用いられた可能性がある。有田では17世紀前半の、いわゆる初期伊万里の時代から瑠璃釉が用いられている。初期の瑠璃釉は比較的淡い色調であり、17世紀後半以降には紺色の色調のものに移行する。ただし1650から60年代には淡い色調の瑠璃釉が多く見られる。この場合、薄く濃みをした染付と淡い色調の瑠璃を区別しにくい。染付によって薄く塗られたものを薄瑠璃と呼んでいるが、これは瑠璃釉の薄いものと混同されている。瑠璃と薄瑠璃の区別は、釉薬そのものが瑠璃色であるものが瑠璃であり、染付で薄く濃みをしたあと透明釉を掛けたものを薄瑠璃と見なすことが出来る。断面を見れば、素地の上に藍色の釉薬があるのが瑠璃であり、素地の上に藍色の呉須がありさらにその上に透明の釉薬があるのが薄瑠璃である。

 薄瑠璃は染付の一種であり、瑠璃は色釉であるところに違いがある。しかし1650から60年代の有田磁器においては、淡い瑠璃釉を施したあとからさらに透明釉を掛けることが多いので難しいのである。
 藍色の瑠璃釉に赤や金の上絵付けをする作品も多い。写真の作品は赤で葦雁文が描かれている。地の色が濃いので上絵付けが目立たないが、白地に色絵とはまた違った趣がある。
(鈴田由紀夫)
佐賀県立九州陶磁文化館報
セラミック九州/No23号より(平成3年発行)

■写真…瑠璃釉色絵葦雁文輪花皿
C佐賀県立九州陶磁文化館所蔵
■編集・著作…佐賀県立九州陶磁文化館
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