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やきものにみる文様VOL.3 七宝(しっぽう)つなぎ文様


 両端の尖った長楕円形をつなぎ合わせた文様。中国では「古銭套(こせんとう)」(古銭を重ね合わせた文様)、「繍球紋(しゅうきゅうもん)」(獅子が戯れ遊ぶ球)といい宋時代の文様として知られる。日本の古い例では、無意識にであろうが、前期の弥生式土器にヘラ彫りにより4枚の木葉文を十字に描きこれを横に重ねたものがある。11世紀〜12世紀の藤原時代には、仏像、仏画に多くみられ、衣の装飾文様として截金(きりがね)で七宝つなぎ文様を施している。

 仏教では七種の宝物を七宝(しちほう)といい、「無量寿経(むりょうじゅきょう)」には金・銀・瑠璃(るり)・玻璃(はり)・しゃこ・珊瑚(さんご)・瑪瑙(めのう)を、「法華経」には玻璃、珊瑚のかわりに真珠、ばいかいをあげているが、これと七宝つなぎ文との関連はわからない。中国明時代の陶磁器には背景地文としてみられ、祥瑞(しょんずい)にもよくつかわれる。その影響をうけて、江戸時代には鍋島※、古九谷などの装飾文様として用いられている。鍋島の皿の裏側三方には、最も代表的な文様として、七宝つなぎ文様がリボンで結ばれ配置されている。
(吉永陽三)
※鍋島についてはこちら→
佐賀県立九州陶磁文化館報
セラミック九州/No.2号より(昭和56年発行)

■写真…色絵椿文皿
C佐賀県立九州陶磁文化館所蔵
■編集・著作…佐賀県立九州陶磁文化館
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