
日仏三人展
<会期:平成14年7月16日〜7月21日> |
| 平成14年7月16日 |
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7月16日、佐賀は曇り空でしたが、うだるような蒸し暑さ。道路の電光掲示板の温度計が、軽く30度を越えているのを横目で見ながら、九州陶磁文化館へ向かいました。今回おじゃました日仏三人展は、フランスの陶芸作家であり環境デザインも手がけていらしゃる、ジャン・ピエール・ヴィオさんと、佐賀県相知町で陶彫作家としてご活躍中の濱崎節夫さん、唐津焼作家の岡本作礼さんの三人によるグループ展です。展示室に入ると、茶陶やオブジェ作品がずらりと並んでいます。今回はお仕事の関係でジャンさんとはお会いすることができませんでしたが、ジャンさんの奥様でご自身も陶芸作家として活躍されている、福山芽子さんが来館。福山さん、濱崎さん、岡本さんの三人に、お話を伺いながら作品を見ていきました。
ジャンさんは2年ほど前に、福岡で展覧会をなさった際に、岡本さんや濱崎さんとお知りあいになったそうです。唐津の窯などを一緒に見てまわるうちに、意気投合し、グループ展を開催するまでに至ったとのこと。ジャンさんの作品は、オブジェを中心に、碗や鉢などの器もありましたが、どれも独特のふわっとした優しさを感じます。「これは日本の楽に似た、焼成法でつくっています。フランスでは、日本のように窯変を狙うというよりも、自分がつくりあげたままのイメージであまり変化なく作品を焼き上げる、という方が好まれています。」と福山さん。熱い窯で、2時間ほど焼成したのちに、窯から作品を取り出して、木の葉などの中に入れて燻すのだそうです。またジャンさんは、触ってみて遊びのある作品づくりにこだわっていらっしゃるとのことで、オブジェ作品も、横にしたり、立ててみたりと様々に楽しめる工夫がされていました。
私がジャンさんの作品で、とくに気になったのは、鉢や碗。今までみた器とどこが違うのかははっきり分かりませんが、均衡が取れた形にもかかわらず、不思議なリズミカルさがあり、いきいきとした雰囲気を感じます。福山さんの解説によると、まず鉢を上下ひっくり返した形を、ろくろでつくり、その後鉢の中の部分の土を掻き出すような手順で成形するのだそうです。普通、ろくろでつくる器というと、外面と内面が同時にできあがるのですが、ジャンさんのこの技法の場合は、外面が出来、次に内面ができあがるというわけです。どうやらここから、私が感じた不思議なリズミカルが生まれのではないでしょうか。
濱崎さんの作品は、ちょっと素材が違うやきものです。なんと、石そのものを登り窯で焼いて作品づくりをなさっているそうです。「この石は砂岩(さがん)といって、きめが粗い石なんですよ。この石が年月をかけて風化すると、唐津焼の原料となる土や、釉薬となるんです。」と濱崎さん。唐津焼の源から生まれた作品と言ってもよいのでしょうか。作品には、釉薬がかけらている物もあれば、焼き締めのように無釉の物もあります。釉薬がかかっている物は、場所によって色の変化が表れ、神秘的な雰囲気です。釉薬と石の相性もあってか、ちょうど斑唐津のような変化がある部分もありました。また石と土との組み合わせによる作品もあり、その肌合いの違いや思わぬ変化に足を止めて見入る人も。
さまざまな原料にこだわって制作なさっている濱崎さんですが、出展されていた作品のひとつに重厚な光沢をはなつ茶碗がありました。これは絵唐津の鉄絵に使われる、鉄を全面に施して焼成したものだそうです。茶碗の見込みは、つるりとした表面で、深い赤みを帯びた黒褐色をしています。茶碗の表面のあちこちには、赤茶色や、緑を感じさせる光沢、鉄が錆びたような鈍いざらつきなど、見ていて飽きない変化があります。大木を思わせる雰囲気で、自然から受ける恵みにも似た美しさを感じました。
いつもは唐津焼茶陶を中心に作陶されている、岡本さんは、今回ガラス作品やオブジェ的な花器、また同じ形状でサイズが違う入れ子の器を出展。「いつもは茶陶中心ですが、同じことばかりをやっていると、世界が狭くなります。今回はいい機会でしたので、自分が美しいと思うものを表現してみました。」という岡本さん。岡本さんの作品では、特に2種類の入れ子の作品が人目をひいていました。ひとつは、朝鮮唐津の片口で、もう一種は青白磁による入れ子のお皿です。
「入れ子の作品は、ひとつひとつが独立した器であることは確かですが、それぞれが集まることで、ひとつの作品となる魅力があります。陶片もたくさん集まると、ひとつの器になるでしょう。そういったところが、着眼になっています。」岡本さんの説明を聞き、作品を前にすると、なんだかわくわくしてきます。実際に岡本さんに朝鮮唐津の作品を重ねていただきましたが、ぴったりと納まるようになっています。青白磁の皿は、一番小さいものは径が1.5cmくらいで、一番大きいものが30cm強。全部で34枚ありましたが、今回は一列に並べて展示されています。岡本さんによると、皿をすべて重ねると、ちょうどピラミッドのようになるそうです。そちらも是非見てみたくなりました。
また「濱崎さんに影響されて」、と石を使ってつくられた作品もありました。「灰釉打石文壺」という作品ですが、岡本さんは原料ではなく、道具に石をつかったのだそうです。この作品は叩き技法でつくられていますが、普通叩きは木材からつくられた道具で、土を叩き締めますが、今回は石を使って、土を叩き締めてあります。表面がごつごつとした風合いになっており、壺も石からつくられたような雰囲気です。
じっくりと作品を鑑賞していると、あっという間に時間がたってしまいました。三者三様の様々な試みの作品を楽しめたと同時に、「やきもの」の持つ表現の多様性を改めて感じるとともに、素材の持つ優しさを意識させられました。濱崎さんが「私の作品をつくばいとして、戸外に置いて使ってもらいたい。」とお話をしてくださいましたが、きっと周囲の自然に溶け込むだろうなと想像できます。
■お知らせ
この展覧会を記念して講演会が開催されます。フランスの陶芸を知る貴重な講演です。
□「フランス陶芸の今」
□平成14年7月20日(土)14:00〜15:30
□佐賀県立九州陶磁文化館講堂にて
著名な現代フランス陶芸家である、ジャン・ピエール・ヴィオ氏を夫に持ち、彼女自身も陶芸家として活躍している芽子氏。今回「日仏三人展」を記念して来日された彼女による、現代フランス陶芸家達の作品紹介とその展望をスライドを交え、講演していただきます。
「日仏三人展」巡回展予定
□平成14年8月27日〜9月1日
□高伝寺村岡屋ギャラリーにて(佐賀市)
●佐賀県立九州陶磁文化館
【所在地】西松浦郡有田町中部乙3100-1
【電 話】0955-43-3681
【駐車場】有
【休館日】月曜日
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