トップ >> うまか陶ジャーナル >> 販売力向上教育訓練事業研修取材 第2弾

販売交渉力向上教育訓練事業

 販売交渉力向上教育訓練事業の第2回目の研修は1月18日、大有田焼会館にて約40名の方々が参加して開催されました。能率産業大学講師・谷口節子氏により、「売上倍増大作戦!『感動を伝えるこんな接客』」をテーマに顧客に満足してもらう方法と、接客サービスの向上を図るポイントの研修が行われました。
 講演の中で谷口氏は、お客様は買物をする際、自分の期待を上回ったときに初めて満足をしていただけるものであり、そのお客様は必ずリピーターとなり、次のお客様を呼ぶもの。その基本が接客であることを先ず提示されました。今では様々なサービスの仕組みがつくられているが、その前に接客の大切さがあることを強調。お客様の印象に残るのは「人(接客)」に関わることであり、相手への好意・心遣いの一言や態度が相手に感動を与えることを示唆されました。「微差は大差なり」という言葉を引用されながら、このちょっとしたことができないと相手に不満を与えてしまい、不満を持った人は誰かにそのことを話してしまう。そして、見込み客をも失ってしまい悪循環に陥ってしまうと指摘がなされました。
 また、研修では参加者がそれぞれ6名で一つのグループを作って、各人が買物をしたときに感じた満足や不満を発表。更に、お客様だったら何を期待し、何に不満を持っているかを考えて、各人の意見が発表されました。講師の谷口氏からは参加者から発表された身近な問題に対し、具体的な指導がなされ、「有田には観光等で他所からお客様がいらっしゃっています。お客様は旅の思い出づくりの象徴としてやきものを買われます。だから売る側はお客様の思い出づくりのお手伝いをするという気持ちを持ってください」と接客の心構えなども含め、接客の大切さや目的・方法などの指導がなされました。


 第3回目の研修となった1月21日は「教えます貴社のファンづくりの秘策」と題して、能率産業大学講師・釋 左枝氏による最大限に効果を生み出す店舗販売の指導がされました。冒頭、CS(顧客満足)について触れ、CSはお客様に商品を買ってもらうため、そして利益をだしていくことがCSの目的であるとし、お客様に満足をしてもらうためには、しないと不満の原因となる「当たり前のサービス」と、気配りで「喜ばれるサービス」の二つが必要と説かれました。
 そしてCSを実現していくには顧客管理が重要であり、顧客管理の基本は顧客の情報を蓄積して共有すること。顧客情報は宝の山なので、住所・氏名などの顧客情報だけでなくどういうお客様なのか、そしてその客様はどういう趣味をお持ちなのか、また何を買われたのかを記録するよう指導がありました。また、お客様のパターンを幾つか作り、以前こういうお客様がいたのでたぶんこのお客様もこういうのをお好みではと勧めてみる。この積み重ねがお客様を見る目を養い、お客様に満足していただけるサービスを生み、そのお客様がリピーターとなり、更にファンとなり市場ができていくと話されました。また市場を作っていくにはブランドも大事であり、ブランドを作るには信頼と認知、信頼とは安心と期待、認知とは知名度をあげることであると説明されました。
 次に商品を売るには、
1、いいものづくり 2、売れるものづくり 3、売り方づくり 4、売れる売り方づくりの4つのステップがあり、1〜2は商品力に依存するが、3〜4は販売力であり、特に4はお客様に合わせて売る力であり、いかに個々のお客様に合う商品を提供できるかであると力説されました。
 ところで、ここで実際に卸団地を見学された感想を述べられ、店内のディスプレーが東京のデパートとほぼ同じようであり、雑誌の写真から抜け出たような感じがしたことを紹介され、消費者の生活とギャップがあることを指摘されました。例えば普通の家では器は皿立てには立てないし、家にありそうな器と組み合わせて商品をディスプレーすれば興味をひくので、何度もトライ&エラーで繰り返しチャレンジしてほしいと指導がなされました。

 次に購買意欲を引き出す売り方をするには、顧客と市場のステージがあることを知って、お客様のパターンに合わせて販売を行わなければならない。顧客のステージは種まき→育てる→刈り取りの三つ。市場のステージは顧客づくり→ファンづくり→市場づくりの三つがあり、顧客と市場のステージづくりは同時に進行していくことを示唆されました。またお客様のパターンには、1 買いに来た客、2 何かいいものがあったら買ってみようと来た客、3 旅行などのついでに買ってみようと来た客の3種類の客があるので、どの客かを見分けて対応していく必要性を指導されました。

 今の市場は細分化されているので、お客様をひとまとめにするのではなくターゲットを絞り、そのターゲットにフィットすれば反応は予想以上にあたり、満遍なく売ろうとすると逆に売れないという結果になるとも指摘されました。最後にお客様の潜在価値発掘の観点として<歴史/地理・地形/経済・産業><生活/仕事/遊び><衣/食/住>の3種9項目の要素を提示され、この中の幾つかの組み合わせでお客様は買い物に来るので、経験を重ねつつ知っていってほしいと研修を締めくくられました。

今回の研修では業者ではなく一般の消費者という顧客に目を向け、顧客を知るという販売のベースを中心とした研修内容でした。伊万里・有田焼の産地は明治期以降、業務用食器をメインとした業態であったため、ある意味今は産みの苦しみの最中なのでしょう。日頃産地内の店を覘いてみると、「当たり前のサービス」ができていないところがまだまだ…



お問合せ
伊万里・有田焼産地再生プロジェクト推進協議会
佐賀県西松浦郡有田町中部丙954番地9 大有田焼振興協同組合内
担当 鐘ヶ江・渕野
電話0955−43−2121 FAX0955−43−2100


取材協力:大有田焼振興協同組合


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