特別企画展 「源内焼−平賀源内のまなざし−」
<会期>平成16年3月6日(土)〜4月6日(火)
 この度、大阪市立東洋陶磁美術館・福岡市美術館との共催で、五島美術館の企画協力のもと「源内焼−平賀源内のまなざし−」展を開催いたします。
 本展覧会は、源内焼作品約百点と参考作品を一堂に展示し、江戸時代の瀬戸焼・京焼を除く諸国のやきものである国焼きのひとつ、源内焼の全容をあきらかにしようとするものです。
 源内焼は、現在のさぬき市で、江戸時代の奇才 平賀源内(1728〜79)の指導によって焼かれたとされる交趾風三彩陶器です。宝暦5年(1775)に始まった源内焼は、江戸中期以降、わが国の政策上、海外への輸出販売をはじめとする「殖産興業」を目的として各地で勃興した、国焼の嚆矢といわれています。
 源内焼の大きな特色としては、桃山時代以降、中国の華南三彩が日本のやきものに影響を与えたと考えられる軟質の三彩陶器と関連性があること。源内の長崎遊学の際に得たとされる、新奇な知識に溢れた西洋風の図柄が意匠に採用されていること。一方で江戸中期、日本全国の知識層に広まった文人趣味が色濃い中国絵画の主題や、土佐派・狩野派の流れを汲む粉本から意匠を取り入れていることが挙げられます。なかでも器形や色彩画で、油絵の額縁に見られる欧風の唐草文様が額皿の縁飾りに用いられたり、三彩陶器の中でも色使いが、パステル風の柔らかな明るい色調であることなど、他のやきものには見られない特徴があります。
 本展覧会では、長年に渡って厳選収集した個人コレクションを含む作品約百点を展示し、中国明代の華南三彩やそれに影響を受けたと考えられる京焼の作品を通して「源内焼」の概要を紹介し、さらに中国唐・遼三彩や日本の奈良三彩などとも対比させながら「源内焼」との関係を模索したいと思います。精緻な型による世界地図や日本地図など斬新な意匠をもつ、源内焼の魅力をぜひこの機会にご堪能ください。

■主な展示品
・三彩万国地図(ユーラシア・アフリカ大陸)皿 
江戸時代18世紀後半19世紀中頃 大阪・南蛮文化館蔵
・二彩万国地図(ユーラシア・アフリカ大陸)皿 
江戸時代18世紀後半19世紀中頃 大阪府教育委員会蔵
・三彩万国地図(アメリカ大陸)皿 江戸時代18世紀後半19世紀中頃 個人蔵
・三彩日本地図脚付角鉢 江戸時代18世紀後半19世紀中頃 個人蔵
など

会場 MOA美術館 第7・8展示室
住所 静岡県熱海市桃山町26-2
電話 0557-84-2511
入館料 一般1,600円/高・大生800円/中学生以下無料
※団体割引は20名様以上
※満65歳以上1,200円
交 通 ・JR東海道新幹線・東海道線熱海駅下車/駅前バスターミナルバス4番乗り場よりMOA美術館行 約8分終点下車
開館時間 9:30〜16:30(入館は16:00まで)
休館日 毎週木曜日(祝日は開館)
URL http://www.moaart.or.jp/