自由の国のオブジェと器
アメリカ現代陶芸の系譜 1950−1990
<会期>平成16年7月17日(土)〜9月5日(日)
 日本にはやきものの長い伝統があり、多くのやきもの愛好家が存在します。一方、アメリカのやきものの伝統はそれほど深いものではなく、第二次世界大戦以前は、ヨーロッパを規範とし、器を作る技術を重視してきました。ところが戦後、その状況は一変します。アメリカ現代陶芸の旗手として有名なピーター・ヴォーコスらが、1950年代後半から、それまでの器としての陶芸の、技術的な常識を破るきわめて自由で彫刻的な陶芸作品の制作を開始したのです。これらは1950年代、ニューヨークの美術界を風靡したボロックらの、行動の軌跡を示す作画法に共鳴したもので、抽象表現主義的陶芸と称され、陶土による新たな造形表現として注目されました。また、一方では浜田庄司、柳宗悦、バーナード・リーチの訪米を通じ、日本の民芸が紹介され、民芸風の陶器が作られたり、日本の楽焼にヒントを得た作品も制作されました。1954年に訪米した北大路魯山人もアメリカの陶芸家に影響を与えた一人と言えるでしょう。
 さらに1970年代になると、マーケットの食品をやきもので作るなどポップ・アート風の作品や、美術界にその時期登場したスーパー・リアリズムに共鳴したような作品も現れてきました。このアメリカでの流れは、やきもの王国を自認していた1970年代の日本の若手作家たちに大きな影響を与え、日本の陶芸家たちは、驚愕とともに急速にこの種の陶芸=クレイワークに引き込まれていきました。
 本展では、表現としての陶芸を意識したアメリカの現代陶芸家たちが、変転する社会状況や美術界の動きと呼応しつつ、さまざまな作品を生み出していった、1950年代から1990年代までの歩みを、世田谷のコレクター、故・豊田勝業氏のコレクションを中心に、69作家、131点の作品により本格的に紹介しようとするものです。
 なお、収蔵品展では、ピーター・ヴォーコスに深い感銘を与えた北大路魯山人の作品を多数展示し、日本とアメリカの陶芸の違いを楽しんでいただきます。


会場 世田谷美術館
住所 東京都世田谷区砧公園1-2
電話 03-3415-6011
入館料 一般800円(640円)/大高生600円(480円)/中小生・65歳以上400円(320円)
※( )内は団体20名以上の料金、障害者割引あり
交 通 ・東急田園都市線「用賀」駅下車徒歩17分、または美術館行バス(1)「美術館」下車徒歩3分
・小田急線「成城学園前」駅から渋谷駅行バス(2)「砧町」下車徒歩10分
・小田急線「千歳船橋」駅から田園調布駅行バス(4)「美術館入口」下車徒歩5分
開館時間 10:00〜18:00(入館は閉館30分前まで)
休館日 毎週月曜日(ただし休日の場合は翌日)
URL
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/
関連イベント 「夏休み!鑑賞リーダーと一緒に美術館で遊んじゃおう!!」
 期間:8月中の毎週金・土・日曜日
 時間:10:00〜16:00 随時受け付け

「夏休みテラコッタ(素焼き)教室」
 日時:制作・8/8(日)、仕上げ8/29(日)13:30〜16:30
 場所:世田谷美術館創作室C
 対象:小学4年生〜中学生、2日とも参加できる方
 定員:20名(応募多数の場合は抽選)
 参加費:2,000円(2回分・材料費、焼成代こみ)
 申込方法:往復はがきで、当館教育普及課まで
 申込締切:7月31日(土)

■同時開催
収蔵品展「米客来たりて―魯山人」

会期:7月6日(火)〜9月5日(日)
会場:2階 収蔵品展示室
入場料:一般200円(160円)/大高生150円(120円)/中小生・65歳以上100円(80円)
( )内は団体20名以上の料金、障害者割引あり
※アメリカ現代陶芸の系譜展のチケットで収蔵品展もご覧になれます。
※小中学生は、土、日、休日、および夏休み期間は収蔵品展のみ無料です。