企画展 樂家歴代と十四代覚入・十五代吉左衛門
樂茶碗―手のひらの小宇宙
<会期>平成16年9月25日(土)〜11月23日(火)
 樂焼は、今から400年以上前の16世紀桃山時代、樂家初代長次郎が茶の湯の大成者である千利休の侘茶の創意を受けて、草庵の小座敷で用いる茶碗を作りはじめたことがその始まりです。また、その名称は、豊臣秀吉が建てた桃山時代を代表する建築である「聚楽第」の「樂」がその由来でもあります。
 「茶の湯」のための一碗の茶碗という明確な目的意識を持って作られた陶芸の発生のありかたも、日本陶磁史の中においては、きわめて異例なことですが、長次郎の作った茶碗を当時、「今焼き茶碗」といい、「今焼き」すなわち「今日の陶芸」と呼ばれたことは、樂茶碗がそれまでにない前衛的な茶碗であったことを物語っています。また轆轤を一切使わず、平たい円盤状にのばした土を両手で包み込むようにして形作る手捏ね(てづくね)という技法と、箆(へら)によって削り出される形は、作者の個性的で自由な造形を可能にしています。こうした独特の美意識を表現した樂茶碗は、まさに「手のひらの造形」そのものといえるでしょう。
 本展では、わが国で最も伝統ある茶陶である「樂茶碗」の魅力を、初代長次郎から当代の第十五代樂吉左衛門にいたる樂家歴代の名品約100点によって紹介します。
■主な展示作品
・初代長次郎 重要文化財「赤樂茶碗 無一物」(頴川美術館)
・初代長次郎 「黒樂茶碗 面影」(樂美術館)
・初代長次郎 「二彩瓜文平鉢」(東京国立博物館)
・田中宗慶 「三彩獅子香炉」(梅澤記念館)
・本阿弥光悦 「黒樂茶碗 村雲」(樂美術館)
その他
■展示構成
第1部 初代長次郎と樂家歴代―受け継がれる茶の湯精神と変革の意気
第2部 十四代覚入―新たな時代をひらく樂茶碗・モダンの魁(さきがけ)
第3部 十五代吉左衛門―現代に問う茶の湯・造形の革新

会場 茨城県陶芸美術館・地階および2階展示室
住所 茨城県笠間市笠間2345番地(笠間芸術の森公園内)
電話 0296-70-0011
入館料 一般700円(550円)/高大生500円(400円)/小中生250円(200円)
※( )内は20名以上の団体料金
交 通 電車/JR常磐線で上野〜友部駅(特急70分)
    友部駅から笠間市内観光周遊無料バス(定員28名)で20分
    友部駅からJR水戸線乗り換え、笠間駅(9分)下車、笠間駅からタクシー利用5分
車 /北関東自動車道、岩間インターから20分、水戸インターから30分
高速バス/東京駅八重洲南口から[笠間行]を利用して90〜120分
開館時間 9:30〜17:00(入館受付は16:30まで)
休館日 月曜日
URL http://www.edu.pref.ibaraki.jp/tougei/
関連イベント ・美術講演会「長次郎と私・創作の原点」
 講師:樂 長次郎(樂美術館長、樂家第十五代当主)
 日時:平成16年10月23日(土)午後2時から
 会場:当館多目的ホール 入場無料

・茶会―野点(予定)
 9月26日(日) 大日本茶道学会
 10月24日(日) 表千家
 11月14日(日) 裏千家
 時間:午前11時から30分毎に1日8回(1回10人程度、当日先着順)
 整理券:午前10時から配布します
 参加費:無料(但し、企画展観覧券が必要)