非情のオブジェ ―現代工芸の11人
Cool & Light: New Spirit in Craft Making
<会期>平成16年9月18日(土)〜 12月5日(日)
 戦後、さかんとなったいわゆる「オブジェ」の登場は、工芸に、造形芸術の広い視野において検証される契機をもたらしました。これにより「用途」という拘束から工芸は解き放たれ、自由な創造を保障する安全圏に送り込まれたかのようにみえました。
はたしてオブジェは工芸のひとつの終着点だったのでしょうか。
今回ご紹介する11人の作品は、いずれもすっきりとしていて軽く、そしてどこかプラスティックな印象をもたらします。ガラス、陶磁、染織と向き合う素材・技法は異なりますが、求められる形態やテクスチャーは、工芸制作のプロセスに重ね合わせた作家個々の感性や思考の軌跡として提示されています。その軽やかさは、さらなる高みへ飛躍しようとする意志の表出であり、薄さや透明感は、ものの核心に迫ろうとするまなざしが探り出した造形言語なのです。そこでは、かつての前衛的なオブジェ制作のうちに展開された詩情や隠喩、苦闘の影のようなものはほとんどみられません。物質の美しさに嘆じてもそのなかに沈みきることなく、わくわくと掻き立てられながら、ある線からはクール。そこに一種のセンスが生まれるのかもしれません。約80点。
■出品作家
伊村俊見 IMURA, Toshimi (1961− )
上原美智子 UEHARA, Michiko (1949− )
川口淳 KAWAGUCHI, Jun (1951− )
清水真由美 SHIMIZU, Mayumi (1970− )
高橋禎彦 TAKAHASHI, Yoshihiko (1958− )
高見澤英子 TAKAMIZAWA, Hideko (1969− )
田嶋悦子 TASHIMA, Etsuko (1959− )
築城則子 TSUIKI, Noriko (1952− )
新里明士 NIISATO, Akio (1977− )
ボディル・マンツ MANZ, Bodil (1943− )
ダンテ・マリオーニ MARIONI, Dante (1964− )

会場 東京国立近代美術館工芸館
住所 〒102-0091 東京都千代田区北の丸公園1-1
電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
入館料 一般 650(550/450)円、大学生350(250/200)円、高校生200(150/100)円小・中学生は無料
( )内は前売りおよび20名以上の団体料金、消費税込み
※11月3日(水・文化の日)は無料観覧日です
交 通 東京メトロ東西線「竹橋駅」下車徒歩8分(1b出口)
東京メトロ東西線・半蔵門線・都営新宿線「九段下駅」下車徒歩12分(出口2)
休館日 月曜日(ただし、9/20、10/11は開館)、9/21(火)、24(金)、10/12(火)、11/4(木)、24(水)
開館時間 9:30〜17:00(入館は16:30まで)
URL http://www.momat.go.jp
関連イベント ●アーティストトーク:
9月19日(日) 築城則子、
9月26日(日) 川口淳、
10月10日(日) 清水真由美、
10月31日(日) 見澤英子、
11月 7日(日) 高橋禎彦、
11月28日(日) 田嶋悦子

●ギャラリートーク(当館研究員によるガイド):
10月17日(日)、11月14日(日)

●タッチ&トーク(ボランティアによるガイド):
会期中の毎週水・土曜日
「さわってみようコーナー」で出品作家による参考作品や制作資料などを手にとってご覧いただいた後、会場で見どころやさまざまなエピソードをご紹介します。

※各種トークはいずれも午後2時から工芸館会場にて
※参加費は無料(入館に際しては観覧料が必要です)