特別展
タイ古陶の魅力 ―スコータイ王朝の陶磁を中心に―
<会期>平成16年10月22日(金)〜11月23日(火)
 タイの古陶磁は、全体的には中国陶磁の影響を受けながらも、西方のインド、ペルシャのデザインや形態にも影響を受けており、東西の文化の合流点的な趣きを備え、器形や文様などにはタイ特有の美しさがあり、当時から中国陶磁と共に西はインド、アフリカ、東は琉球、日本にまで輸出され、多くの人々を魅了してきました。わが国でも「ソコタイ」「宋胡録(すんころく)」の名で親しまれ、殊に「宋胡録」は茶人に珍重されてきました。「ソコタイ」「宋胡録」は、その産地である、スコータイ、サワンカロークの名に由来していますが、ほかにもカロンやサンカンペン、パーンなどの産地があり、それぞれ魅力的な作品を生み出しています。
 スコータイは特有の器形や鉄絵文様が豊富で、奔放に描かれた鉄絵魚文などの文様はタイ陶磁の魅力とされています。サワンカローク陶と呼ばれた陶磁を生産したシサッチャナライでは、明るく澄みきった青磁や青磁鉄絵、鉄絵、白釉、褐釉などの作品や建築装飾品が焼かれました。また、タイ中部のスコータイやシサッチャナライに対し、タイ北部にはカロンやサンカンペン、パーンなどの窯があります。カロンでは轆轤成形の技術の高さを物語る薄手のものが多く、魅力的なデザインによる作品が焼かれました。サンカンペンは青磁のほかに褐釉、鉄絵もあり、双魚文はその代表的な文様として知られています。パーンは青磁主体の窯ですが、無文や星文などの簡素なものばかりではなく細密な文様を描いた作品も生産しています。
 本展は、こうしたスコータイ、シサッチャナライ、カロン、サンカンペン、パーンで焼かれた13世紀から15世紀にかけてのスコータイ王朝時代の陶磁を中心に、ミャンマーなどの参考出品も含め約115点を展示し、多種多彩なタイ古陶の魅力をご紹介するものです。どうぞ、この機会にご鑑賞ください。

会場 MOA美術館 第6〜8展示室
住所 静岡県熱海市桃山町26-2
電話 0557-84-2511
入館料 一般1,600円/高・大生800円/中学生以下無料
※団体割引は20名様以上
※満65歳以上1,200円
交 通 ・JR東海道新幹線・東海道線熱海駅下車/駅前バスターミナルバス4番乗り場よりMOA美術館行 約8分終点下車
休館日 毎週木曜日(祝日は開館)
開館時間 9:30〜16:30(入館は16:00まで)
URL http://www.moaart.or.jp/