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やきものが登場する物語
Vol.3
青い壺
(あおいつぼ)
発行所
文藝春秋・文春文庫
著者
有吉佐和子(ありよしさわこ)
定価
438円
ジャンル
現代小説

一個の青磁の壺が製作者と再会するまでに十余年。その歳月に壺が観照した人生の断面を、皮肉とユーモア溢れる絶妙の筆で生き生きと捉え、人間と壺の有為転変を鮮やかに描き出す。有吉文学の最高傑作。(カバー広告より)


 ベストセラー「恍惚の人」などを描いた有吉佐和子のこの作品は、主人公が青磁の壺。この青磁の壺が売られ、買われ、贈られて、あげくのはてには盗まれ、また買われたりして製作者である名もない陶芸家と再会するお話です。

 名もない陶芸家・省造がある日窯開きをすると、快心の出来である青磁の壺が一点あった。壺はデーパートで売られ、定年退職をした山田がお世話になったお礼にと原副社長への贈り物として購入します。原副社長の妻・芳江は花をたしなんでおり、なんとかこの壺に似合う花を活けようと悪戦苦闘します。「なんという気難しい花器だろう。一度でいいから、これだと納得のいく花を活けてみたい。」何気ない円筒形で、飾り気のない壺であるのに、いざ花を活けにかけると、納まりが悪い。ところがある日、原は芳江に「あの壺は誰かにくれてやれ、家に置いておきたくないんだ。」と言い放ちます。さて壺はいったいどこへ渡っていくのでしょうか。そしてどのようにして省造と再会するのでしょうか。

 様々な境遇の人の手に渡っていく壺。その先々では、親や子、兄弟と、血は繋がっていながらも憎しみあたっり、理解しあえなかったりという家族の愛憎劇が待っています。どうして人は理解しあえないのかということを考えさせられてしまうとともに、同じ壺でも持つ人によって見方がまったく違ってしまうという個々の価値観の違いに気付きます。「私が持っている陶磁器はどんな世界をみているのだろう?」とふと自分を振り返ってしまう物語です。
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