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 土ものの器は使っていくうちに、その味わいが変化してきます。使い方や使用頻度によっても、変化するペースや味わいは千差万別。まさに自分の器を「育てる」という感覚で、これを楽しむ愛好家もたくさんいらっしゃいます。このコーナーはユーザーの方から「是非、器育てにトライして欲しい!」「唐津焼のぐい呑を試して欲しい!」というご提案をもとに実現しました。
今回は、土ものである唐津焼から「絵唐津」と「斑唐津」のぐい呑を使って、器がどう変化していくかを陶芸祭スタッフの体験日記として紹介していきます。どのようにぐい呑が「育って」いくのかスタッフとともに皆さんも楽しんで下さい!
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space どうして変化するの?
 一般に「土もの」と呼ばれている唐津焼のような陶器は、使っていくうちに色合いなどが変化していきます。釉薬をかけてある場合は、比較的低い温度で焼成されると表面に「貫入」と呼ばれる小さなひびが入っています。このため「貫入」の間からお茶やお酒などの水分がしみこみやすいのです。長く使用していると、しみこんだ水分によって器の色や肌合いが変化したり、貫入がはっきり表れたりといった変化がみられます。また焼締め陶などは使用していくうちに、肌合いに艶が生じてきます。ちなみに茶碗がお茶によって変化していくことを「茶慣れ」といいます。
 使っていくうちに、器が自分だけのものに変化していくのは楽しいものです。みなさんも、ごいっしょに器を成長させてみてはいかがですか?
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space 「絵唐津」「斑唐津」とは?
 唐津焼には何種類かの装飾様式があります。今回はその中から変化が起りやすいという「絵唐津」と「斑唐津」を使用しています。「絵唐津」は唐津焼の代表的な技法で、素地に鬼板(鉄分を含む石の一種。釉薬や顔料として使用する。)で文様を描き、その上に薄く釉薬をかけたものです。文様には草木や鳥など自然のものをモチーフにしたものが多く、指や筆などでのびのびと描かれているのが魅力です。「斑唐津」は土灰釉や藁灰釉を調合したものをかけたもので、全体の表面は乳白色になっています。焼成により粘土の中の鉄分などが溶け出し、青や黒の斑点が表面に現れるのでこう呼ばれています。渋い光沢によって、土味がいかされているのが好まれる理由のひとつでしょう。
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