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―スタッフの陶器市考察― 2007年 有田陶器市レポート総括
第104回有田陶器市を振り返って
 皆さん、今年の有田陶器市に参加されましたか? 参加された方はいかがでしたか? いいお買い物ができましたか? 私も取材とは別にプライベートでもお買い物を楽しみました。その模様を少し紹介しますと…
とある商店で、ワゴンに乗っている捨て値の商品の中に、手の込んだいい絵付けの大皿を見つけ目がキラリ、早速手にとって見て「○○窯だ。えっ、こんなに安い(恐らく市価の1/10)」「うそ? キズがあるのでは?…」とじっくり検査し「ない! 多少の絵具のシミがある程度ね。よし、買っちゃう!」と5枚で5千数百円。もちろんこの端数を値引き、意気揚々と帰ってきました。これ以外にも、コレクションアイテムを2品、家族用の皿・コーヒーカップなどを買い、予算オーバーの買い物でした。
1、 好調な滑り出しでしたが…
 期間前日の28日から幾つかの大手のメーカーさんが陶器市を開始されていました。この日が土曜日ということもあり、至るところで例年より多いお客さんが有田の町で買い物をされていました。
そして、いよいよ初日の4月29日が23万人(昨年より5万増)と好調な滑り出し、「今年の陶器市は違うぞ」と期待しましたが、5月3日以外は天気が良くなく、昨年よりも少ない人出となりました。終わってみれば昨年よりも7万人少ない105万人の人出だったそうです。

 ところで、肝心の売上は昨年の実績には及ばないと聞き及んでいます。「うーん、歯止めはかからないのかなー」と毎年思っていますが… 幾つかの光は見えているようですが、売上アップの牽引力までにはなっていないようです。
ここ数年「究極のラーメン鉢」や「香酒盃」「匠の蔵・至高の焼酎グラス」「万華鏡」など話題性のある商品が立て続けに市場に出てきて、有田に活気をもたらしてきつつあります。今年も新たな商品が幾つか出てきていました。昨年末発表された「匠の蔵・至福の徳利&盃」「うすはりシリーズ」や初登場の「笑み鏡」などなど、それぞれ好評を博していたようです。しかし、「究極のラーメン鉢」ほどの話題を呼ぶパンチ力がないし、私たち消費者の買う気を喚起していないのでは…。
2、 客層の変化をみると
 買う気満々のリピーターの姿は年々減少傾向。ここ数年見かけていた若者グループやファミリー客も減少。逆にレジャー客やツアー客は増加しているようです。因みにバスツアーの数を調べてもらったところ、予約があったバスの台数が期間中で902台もあったということでした。これにJRやホテルなどのツアーを加えると相当数のツアー客が有田陶器市に来られたわけです。
さて、お客さんの購入意欲を知るために、会場を闊歩するお客さんの姿を見ると、カートの台数がめっきり減っていました。リュックが増えていたわけではないので、「戦闘モード」のお客さんが来られていないということでしょうか。また、ビニールの買い物袋を提げている方の割合を見ると、一目4〜5人程度で例年の半数近くまで減ったと感じてしまうほどでした。更に、そのビニール袋も中味にまだ余裕がある袋が多かったようです。
3、 売り手の変化は
 会場を回ってみると所々に空いている場所を見受けました。皆さんの中にも「あれっ?」と思われた方も多かったのではないでしょうか。事前の発表では550店と例年よりも50店少ない出店数でした。
昨年は、老舗窯元の不振というセンセーショナルなタイトルで取材記事を書きましたので、今年はどうかなと気になりながら覗いてみると、「おっ、お客さんが来てる!」と思わず声に出してしまいました。よかったとホッとしながら見てみると、往時ほどの賑わいには届きませんが静かな買い物風景を見ることができました。
 さて、例年たくさんのお客さんが集まり、道にはそこの店の袋を提げた買い物客をあちこちに見かけたのに、今年は何とほとんど袋を見かけない!かと思うと、別のところでは連日押すな押すなの賑わいをみせているところもあったりで、様相が入れ替わった感じがしました。
有田陶器市の楽しみの一つに売り子さんの呼び込み、店の主人の口上、値引きのやり取りをしたり、それを聞くことでしたが、今年は「静か」。最終日も数えるほどしか呼び込みをしていませんでした。総体的に「元気がない」陶器市だったように思われます。
4、 今年はブログが多い!
 有田陶器市が終わって、皆さんがどういう感想をブログに書いていらっしゃるかと検索してみると、その数の多いこと! 昨年は確か数ページだったように記憶しているのですが、検索結果を見た途端、「えっ、これを見るだけで1日仕事だ」とため息。
ということで、今回は私どもの感想ではなくブログを書かれたお客さんの声を纏めてみたいと思います。
先ず、意外と多かったのが「初めて行きました」という方。有田陶器市に行った動機では「念願叶って」という方が大半、あとは、他の人に「付いて来た」という方、「一度は見ておきたい」という方など。買い物方法としては、「○○窯」や「○○商店」といったご指名型と、「長皿」といったハッキリした目的買い型、そしていいのがあったらという出会い型に三分されるようです。
では有田へ向かうアクセス方法は「バスツアーに参加」した方が意外に多かったようで、次いで「マイカー」、中には「飛行機で」という方もいらっしゃいました。宿泊地は日帰りがほとんどでしたが、ハウステンボスが数名と武雄温泉・佐賀などとなっていました。
余談ですが、バスツアー参加が意外に多かったのでバスツアーのサイトを調べてみましたら、昨年とは大きな違いがありました。それは次のキャッチコピーに表れています。
「ゆったり有田陶器市」 「たっぷり有田陶器市…」
昨年、私どもが取材した時にツアー客から聞いた話ですが、ツアー行程中の有田滞在は2時間でした。これでは確かに買い物ができませんね。お客さんからの要望があったのでしょうか、そこで今年はどこも時間延長し、有田滞在時間がなんと6時間でした。
「それでも足りない」「もう1日あれば」という声も多かったようです。中にはマイカーで来られた方で「翌日も行った」という強者もいました。確かに550店という数は半端じゃないです。初めて来られた方もその数には「ビックリ」されていました。
 さて、肝心の有田陶器市参加の感想ですが、「感激」された方が私どもの予想よりも多かったようです。中には「また、来年も行きます」と宣言されていた方も一人ではありませんでした。しかし、この方々は恐らく「器好き」の方々でしょう。
有田陶器市には器好きの方々ばかりがいらっしゃるわけではないですから、中には「おもしろくなかった」と書かれた方も。「スーパーにある商品と一緒」「どこも一緒」と書かれた方や、「店員が奥にふんぞり返っている」とも。また、「雨が降ってきたので傘をさして歩いているのに、サッサと閉めてしまう店がある」などの意見が見受けられました。
ブログを読み出したら、ついつい読みふけってしまいました。その訳は、ブログの意見は私どもが常日頃感じ、思っていることを書いてあったからです。思わず「そう!」と言いそうになったくらいです。
今回ブログを何故採り上げたかと言いますと、今ブログの影響力はあなどれないからです。ブログの「口コミ」の効果には目を瞠るものがあります。サイト運営者と同じ嗜好、意見を持った人が読者となるわけですから、サイト運営者が「よかった」と言えば「わぁ、私も行きたい」「買いたい」というコメントがどんどん入っていきます。しかし「おもしろくなかった」と書かれれば、「じゃ、行かない」とか「聞いて、よかった。行くところだったのよ」といったコメントを書かれることが想像できます。
 有田を取り巻く環境は厳しく、さまざまな手が打たれてきました。しかし売上回復の見込みは未だ見えない状況のようです。しかし、一歩視点をかえて、こういう消費者の声をじっと聞いてみると、ヒントとなるものが幾つか見えているように思えます。是非、声を参考にして、来年は「よかった!」とより多くのお客さんによろこんでもらえるような有田陶器市を期待します。

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