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やきものにみる文様VOL.27 鳳凰文様(ほうおうもんよう)




 鳳凰は麒麟、亀、龍とともに四霊とよばれる想像上の動物で、喜ばしいことがあると出現すると古代中国で考えられていた。とりわけ、徳の高い君子が帝の位につくときには宮廷に鳳凰が飛来するとされ、日本でも西暦650年にだされた詔に、「聖王世にいでて天の下を治(しら)す時に、天すなわち応えて其の祥瑞を示す。所謂(いわゆる)鳳凰・麒麟・白雉・白鳥、かくの如き鳥獣・草木に及び、しるし応えあるは皆これ天地の生ぜるよき祥(さが)よき瑞(みず)なり」とあり、鳳凰は聖王が天下を治める時に現れる瑞鳥としている。

 鳳凰は、鶏のように冠をもち、尾が長く、羽毛は五色に彩られ、鶏と孔雀を組み合わせたような姿で表現される。日本には、古墳時代の末には鳳凰の文様が伝えられ以来、さまざまな工芸品にとりいれられている。とくに鳳凰を円形にあらわす団鳳凰文や、二羽を向かい合せに配する双鳳凰文などがよく見られる文様である。

 鳳凰は、梧桐の木に留り、竹の実を食べ、霊泉を飲むという、聖獣らしい伝説的な生態で語られ、とくに桐と鳳凰の組み合わせは鳳凰にふさわしく、絵画などにも表わされるが、やきものに見られる鳳凰文は他の花木(牡丹や菊など)と適当に組み合わされたものが多い。また龍とともに描かれるものが多く、これは中国陶磁の影響と思われる。 

(藤原友子)
 
佐賀県立九州陶磁文化館報
セラミック九州/No.34号より(平成10年発行)

■写真…染付桐鳳凰文蓋付壺
C佐賀県立九州陶磁文化館館(柴田夫妻コレクション)
■編集・著作…佐賀県立九州陶磁文化館
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