トップ >> 筒井ガンコ堂のガンコスタイル >> vol.1 有田を歩こう!(2001年)
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 有田は文字通りの陶都である。三百数十年間、日本有数のやきものの町として栄えた伝統の雰囲気をいまでも色濃く残し、現に歴史的な町並み保存地区の国の指定を受けている。

 この町は年に一度、五月の大型連休をはさむ一週間、恒例の「陶器市」で大いに賑わうが、ふだんはひっそりと落ち着いたたたずまいを見せる。そして中に奥深いものを秘めている。町を歩くだけでも、一種豊かな気持ちになるのである。
イメージ どの店ということはない。ウインドーショッピングで、ちょっと惹かれる品を見かけたら、遠慮なくその店内に入ればよい。「ちょっと見せてください」と最初に断わっておく。品物を手にとってゆっくりと見たり、お店の人と話を交わすのが楽しいのである。気に入れば買えばいいし、欲しくなければ強いて買う必要はない。「ありがとうございました」と言って店を出ればよい。そうやって一軒、また一軒。数時間は瞬く間に過ぎ、快く疲れるだろう。以前とは違って、町なかには洒落た喫茶店や食べ物屋が増えた。そこで一息つけばよい。

 さらに有田には九州陶磁文化館をはじめ、公設・私設のいろいろな展示館がある。そこには値もつけられないような逸品がさりげなく展示してあるはずだ。眼福を存分に味わえばよい。優に一日は楽しめるのである。

 日が暮れかかる。隣の西有田町で鯉料理を食べるか、さらに伊万里まで行って牛肉を食べるか、それはお好み次第。あるいは嬉野に回って温泉に浸かるという手もある。有田はそんな好位置にある町でもあるのだ。
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■筒井ガンコ堂
本名:筒井泰彦(つつい・やすひこ)
1944年佐賀県生まれ
平凡社にて雑誌「太陽」編集に従事。
佐賀新聞社で文化部長、論説委員など歴任。
元「FUKUOKA STYLE」編集長。
著書に「梅安料理ごよみ」(共著)、
「必冊 池波正太郎」等
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