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有田ポーセリンパーク
平成14年4月15日

 今回は、先月23日にリニューアルオープンしたテーマパーク「有田ポーセリンパーク」へ出かけてきました。「有田ポーセリンパーク」は、JR有田駅から車で6〜7分の場所にある、陶磁器をテーマとした施設です。取材におじゃました日はあいにくの雨模様でしたが、リニューアル後に訪れるのは私も初めてでしたので、楽しみに出かけました。到着後まずびっくりしたのが、入場料・駐車場ともに無料だということ。たくさんの方に何度でも、気軽に楽しんでいただきたいとのことなのだそうです。

 入口ゲートをくぐると、正面にとても大きく美しい宮殿が現われますが、これは「有田ポーセリンパーク」のシンボルでもある「ツヴィンガー宮殿」という建物です。ご存知の方もいらっしゃるかとは思いますが、「ツヴィンガー宮殿」とは、ザクセン侯国のアウグスト王が建設した宮殿のことで(1732年完成)、この主要部分を有田ポーセリンパークに再現してつくったのだそうです。アウグスト王は、陶磁器の蒐集家として、もちろん有田焼もたくさん所有していたとのこと。現在、ツヴィンガー宮殿はドレスデン国立美術館となっているそうです。
 このツヴィンガー宮殿の右ウィングは常設展示室(要入場料)となっており、約150点の江戸から明治期にかけての陶磁器がずらりと並びます。初期伊万里・古伊万里・柿右衛門・鍋島藩窯様式をはじめ、江戸・明治期の輸出向けにつくられた有田焼が並び、その歴史と特徴を垣間見ることができます。
どのお客さんも足をとめて感嘆の声をあげられるのは「染付金高蒔絵御所車図大花瓶」という作品です。高さが182cmもある大きな作品ですが、美しい染付けの文様や緻密な蒔絵が施され、じつに繊細な作品です。これは明治時代にウィーン万博に出展されたもので、有田焼の技術に世界中の人が驚いたのだそうです。
 そしてツヴィンガー宮殿の左ウィングは、展示館・貸しホールとなっており、ちょうど訪れたこの日は「有田伝統工芸士会展」(平成14年5月31日まで)が開催されていました。左ウィング展示館の一番奥には喫茶室があり、ツヴィンガー宮殿の裏に美しく整備された庭園をながめながら、おしゃれなアフタヌーン・ティーを楽しめ、ちょっぴり私も優雅な気分にひたってしまいました。またツヴィンガー宮殿は毎日20:30まで美しくライトアップされているとのことで、夏の夜もロマンチックに過ごせそうです。

 見るだけでなく体験もしたい!という焼き物好きさんにぴったりの施設もあります。ツヴィンガー宮殿右ウィングから奥に歩いていくと、トンバイ塀と木々に囲まれた土蔵づくり風の「有田焼工房」という建物があります。さきほどのツヴィンガー宮殿とは一転して、日本の古き良き時代にタイムスリップしたような気分になります。ここでは、手びねりや下絵付けの焼き物体験にチャレンジすることができます。インストラクターの方がいらっしゃるので、初めての方でも心配ご無用です。旅の思い出に、自分の逸品を手作りしていく方が多いそうです。
 この有田焼工房の周囲には、散策スペースがあり水車で動く唐臼(唐臼とは陶磁器の原料となる石などを粉砕するもの)や、登り窯があります。小高い丘の上にある登り窯は、日本磁器創生期のものと考えられる天狗谷窯跡をもとに再現したものだそうです。

 もちろん有田焼のお買い物コーナーもあります。各窯の有田焼を集めたショップでは、テーブルコーディネートされた器や、他ではあまり見かけない有田焼のインテリアグッズなどが販売されています。こちらのショップでちょっとおもしろいポストを見つけました。磁器の割れたお皿などをくっつけてつくったかわいいポストです。お店のアンケート回収用なのだそうですが、「譲ってほしい」「これは売り物ではないの?」とお客さんから大人気とのことで、お店の方も嬉しいような困ったようなと微笑まれていました。ポーセリンパークを訪れた際には、ぜひチェックしてみてくださいね。
また有田焼ショップ前の広場には「磁器ベル」があります。磁器でつくられたオブジェですが、ボタンを押すと、軽やかな音色を奏でます。私も試してみましたが、磁器の澄んだ音が響きわたり、周囲にいたお客さんも集まって耳を傾けていらっしゃいました。

 陶磁器を楽しめるポーセリンパークですが、家族みんなで過ごせるよう「憩いの広場」という施設もあります。ここでは子供に人気のゴーカートやボール遊びを楽しめたり、近くにはお散歩にぴったりのハーブガーデンも広がっています。(初夏に見頃の予定)また「ヒストリー館」という企画展が催される美術館もあります。リニューアルオープン後、さらに充実したレストラン施設も見逃せません。グルメ本などにもよく登場する伊万里牛や地ビールもいただけるとのことで、きっとお父さんにも満足してもらえます。
 家族みんなでリラックスして楽しめる新生「有田ポーセリンパーク」、さわやかなこれからの季節にぜひお出かけになってみてはいかがでしょうか?

■取材雑記
 ポーセリンパーク内のレストランでいただける伊万里牛は、実は自社牧場による直産品なのだそうです。もちろん、お土産コーナーでも購入することができ、新鮮でおいしくおすすめだそうです。

●有田ポーセリンパーク
【所在地】佐賀県西松浦郡有田町中部乙370番地2
【電 話】0955-42-6100
【入場料】無料(駐車場・無料)
【営業時間】
10:00〜21:00(季節により変更)・年中無休
【ツヴィンガー宮殿】
入館料:大人・中高生500円 幼児・小学生無料 10名以上の団体の場合ひとり450円
【ヒストリー館】
入館料300円