
第104回九州山口陶磁展審査結果記者発表会
<展覧会 会期:平成19年4月29日〜5月10日>
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| 平成19年4月20日 |
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桜の季節も終わり、こちら佐賀ではツツジやシャクナゲの花が見ごろをむかえ、さわやかで心地よい季節となりました。さて今回は有田町で毎年開催されている公募展「九州山口陶磁展」の第104回・審査結果記者発表会へおじゃましてきました。一般の方が観覧できる展覧会はゴールデンウィークの4月29日からですが、一足早く受賞作品をお知らせいたします。
「九州山口陶磁展」は歴史ある公募展で、明治29年にはじまった「陶磁器品評会」に起源をなし、今年で104回目を迎えます。現在、全国一の規模をほこる有田陶器市もこの陶磁展から発展したイベント。九州山口陶磁展は、九州山口県在住者による公募展で、一般の鑑賞に供し、技術の交流、品質の向上、デザインの改善を図り工芸的伝統の継承と産業的発展を目的として開催されています。九州山口地区の新人登竜門的位置づけの公募展でもあり、若手から中堅まで学生や陶芸作家がその腕をふるって応募しています。
第一部「美術工芸品・オブジェの部」と第2部「産業陶磁器の部」と二部構成の開催ですが、今年は第1部・2部あわせて440点の出展がありました。
それでは第1部「美術工芸品・オブジェの部」受賞作品を中心にご紹介していきましょう。記者発表では、各部門の審査員による講評が行われ、第一部「美術工芸品・オブジェの部」では、九州国立博物館長・三輪嘉六氏、社団法人日本工芸会理事・加藤作助氏、日展評議員
日本新工芸家連盟理事・寺池静人氏3人が審査を担当。
第二部「産業陶磁器の部」は、佐賀県陶磁器工業協同組合理事・岩永寿久氏(審査委員長)、陶庵代表取締役・今溝純子氏、日本料理保名・西山智子氏、株式会社ワイズワーク代表取締役・山内眞治氏、トータルプロデューサー・橋本祐充子氏の5名が審査を担当されています。
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| ▲文部科学大臣賞「埋め込み大鉢(長崎県・立井清人さん)」 |
第一部の一席・文部科学大臣賞は「埋め込み大鉢(長崎県・立井清人さん)」。文様を絵付けで施すのではなく、色の違う土を埋め込むことで、絵柄を表現するという手の込んだ技法を用いた作品です。やわらかな色調の中にリズミカルな小花文様が見込みの中に広がっています。
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| ▲佐賀県知事賞「雨の縁取り-\(佐賀県・田中忍さん)」 |
二席の佐賀県知事賞は「雨の縁取り-\(佐賀県・田中忍さん)」。釉下彩によってほどこされた絵柄はあじさいでしょうか。ふわっとした淡い色合いが、まるで水彩画のようです。釉下彩とは、低下度釉である、透明釉の下に赤・緑・黄・紺青・紫・白などの顔料で絵付けを施す技法。焼成後の発色調整が難しい技法のひとつです。
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▲有田町長賞
「線彫呉須象嵌深鉢 麦
(長崎県・長野惠之輔さん)」 |
三席の有田町長賞は「線彫呉須象嵌深鉢 麦(長崎県・長野惠之輔さん)」です。器の表面に象嵌(彫り)と絵付けを用いて絵柄を表現したもの。すっきりとした白磁の器形に、のびやかな麦の穂が描かれており、まさに初夏のさわやなか空気を感じさせてくれる作品です。
これらの上位作品はいずれも丁寧な作行、個性ある主張、存在感を感じることが共通点だったそう。
第一部全体の総評としては、個性の主張が物足りない一方ほのぼのとした表現の作品も見受けられた。「やきもの」という枠の中で、造形や意匠といった豊かな表現力が求められるのは当然だが、九州という地域性をみたとき絵筆による表現が少なかったことが気になる。地域における文化的表現としての伝統への物足りなさを感じたとの評。
また冒険心が少なくもっと積極的な表現の作品が出てほしかったとのことでした。作り手に新鮮な精進を期待したいとのコメントで締めくくられています。
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▲経済産業大臣賞
「炭化線文花入
(福岡県・磯辺マツヨさん)」 |
第二部「産業陶磁器の部」では一席・経済産業大臣賞に「炭化線文花入(福岡県・磯辺マツヨさん)」が選ばれました。
外側には縦、内側には横に線文が施されており、単純な中にも変化がありまた生活シーンも選ばず使い勝手のよい花器といった点が評価を受けました。また流通商品として価格的にもリーズナブルな設定であったことも評価のひとつとなったようです。
第二部で入選した作品の総評としては、技術・品質・デザインともに優れており、商品性や市場性も高かった。しかしそのことが逆に冒険を阻害しているのではとも感じられ、大らかでありながら生活道具としてもしっかりと使えるものが出てきて欲しいとの評でした。
印象的だったのは、ユーザー(消費者)の価値・価格基準と同じであるか、勝っていれば商品は売れるというコメント。産業陶磁では、作り手はつねに健全な消費者感覚を持っていなければならないとのお話でした。こういった点が今後の陶磁業界の生き残りポイントになるのではないでしょうか。
最後に報道陣と審査員との懇談の中で、今後の九州山口陶磁展のレベルアップについての話題が出ました。「作品テーマを設けてみてはどうか」・「若い人が積極的に参加できているのか」・「もっと多くの人に参加してもらう手立ては?」などといった意見が出されました。今後の展覧会運営にもこういった意見が反映されるのかもしれません。
会期前に、一足早く作品を鑑賞してきましたが、この「九州山口陶磁展」は有田陶器市期間中も開催され、美術と産業の二方面で九州・山口の陶磁界の今を感じることができます。来年はどんな力作が出てくるかを期待しながら、今年の入賞作を鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
■お知らせ
以下の日時にてこの展覧会の展示解説会が開催されます。参加無料です。
・佐賀県立九州陶磁文化館にて 4月29日・日曜日14:00〜15:00
第1部「美術工芸品・オブジェの部」
●佐賀県立九州陶磁文化館
【所在地】西松浦郡有田町戸杓乙3100-1
【電 話】0955-43-3681
【駐車場】有
【休館日】月曜日・12/29〜12/31
第2部「産業陶磁器の部」
●有田商工会議所
【所在地】西松浦郡有田町大樽1丁目4-1
【電話】0955-42-4111
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