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消費地コアリーダーの産地ツアー 第1弾
 産地と市場とのネットワークを構築するため、販売交渉力向上教育訓練事業の一環として、1月22、23の両日にわたり開催されたツアーにうまか陶も同行取材をしました。このツアーには、伊万里・有田焼を拡販する際にマーケットリーダーとなる、消費地のコアリーダー7名の方々が招待されました。参加されたコアリーダーの方々はレストランやワインバーなど経営されている方、TVディレクターの方、モデルやライフスタイルコーディネーターをされている方、PRコンサルタントの方、料理研究家、宝石の輸入販売会社を経営されている方など7名の女性が参加されていました。
今回はコアリーダーの方々の生の声、興味などをお伝えするために陶器市スタイルでお伝えいたします。


1月22日 佐賀空港
 コアリーダーの方々を乗せた飛行機が午前9時55分、佐賀空港に到着。空港の到着口ではワーキンググループの方々などが出迎え、最初のコースとなった塩田町の志田の里へ向かいました。車中自己紹介が行われ、コアリーダーの方々や産地のワーキングメンバー、コーディネートされた産業能率大学の方々が簡単にプロフィールを紹介されました。そして何と私たちうまか陶スタッフも指名されマイクを持ってしまいました。さて、自己紹介が済んでもまだまだ田園風景は続く。そこで有田焼を紹介するビデオがバスのモニターに映し出されていました。

1月22日 志田の里
 午前11時、塩田町の志田焼の里博物館に到着。志田焼は1700年ごろから生産が開始され、古伊万里の生産地でもありました。この博物館は昭和59年(1984)まで操業されていた工場をそのまま博物館として保存され、石炭・重油燃料による3基の釜や20mの煙突2基、ロクロ、陶土工場、絵付け作業場、釉薬工場、鋳込み成形工場など21棟の建物があり、焼き物作りの全工程が見学できます。
 大正・昭和初期の雰囲気が漂う中を、志田陶磁器の小田社長より説明を受けながら各工場を見学していきました。特に鋳込み成形法の説明には皆さん「へえー」「なるほど」と感嘆と納得のご様子。また大きな窯の中でも未知の世界ではあるけれど、落ち着ける雰囲気を堪能されていたようです。昼食が用意されていた、窯の中にはたくさんの陶製ランプシェードやイルミネーションでライトアップされていて、「キレイ!」「イイワ!」と。昼食には地元塩田町の特産である鯨で味付けしたダゴ汁が出されると、即座に「鯨のどこをつかっているの?」と質問が飛んできました。
食事が済んだ後は志田焼資料館や志田の蔵を見学され、昭和30年代まで生産されていた火鉢や食器に皆さんは盛んにカメラを向けられ、「カワイイ」「これ、イイネ」の声があちこちで聞こえていました。

1月22日 有田散策〜辻精磁社
 志田の里の見学を終え、午後1時いよいよ有田町に。最初は李参平が磁石を発見した泉山磁石場を見学。全員で記念撮影をした後、皆さんの目が足元に集中。「これ、やきものの破片?」「これは、いいわね!」と興味をもたれた様子でした。泉山磁石場を展望するアプローチには、製造過程でできた陶片をリサイクルして埋め込まれたタイルが一面に敷き詰められています。1枚のタイルの中には染付、色絵、青磁などの小さな陶片がたくさん埋め込まれ、カラフルでたのしいものでした。
 その後、上幸平のとんばい塀のある裏通りを散策しながら、宮内庁御用達である辻精磁社を訪問。お宅の座敷に通された皆さんは、そこに置かれているやきものにうっとり。明治初期に献上された洋食器や置物に目が釘付けの状態でした。そして、お元気な14代辻常陸さん(95歳)などから説明を聞いた後、なんと初公開「極真焼(ごくしんやき)」。辻精磁社オリジナルの窯詰め道具をハンマーで割られる実演をしていただきました。窯詰め道具とは焼成中に製品に汚れや灰がつかないように製品の周りに置かれるハマやサヤ(ボシ)など。これらの道具を使っても、完全には防ぐことができないため、辻精磁社では260年ほど前から共土(製品と同じ土)で製品を完全に密閉して焼成されていたそうです。
 実演されると聞き、全員何が始まるのか期待を胸に固唾を呑んで見守っていると、お孫さんが真っ白い共土で作られた窯詰め道具の筒を布で包み始めました。そして、やおらハンマーを持ち上げ、息を止めて一気にハンマーを振り下ろすと、「パリーン」と音がして窯詰め道具が割れてしまいました。そして、ゆっくりと布が開かれると大きく割れた窯詰め道具の中に染付の香炉が見えてきて、その瞬間「ワアッ!」という驚きと感動の歓声が上がりました。

1月22日 今右衛門窯
 辻精磁社での感動の余韻を残しながら、有田館でのからくり人形の上演や陶山神社の見学、香蘭社赤絵工房での喫茶休憩後、午後3時30分に今右衛門窯を訪問しました。
 色鍋島の今右衛門窯では14代今泉今右衛門さんから、「鍋島」がどのようにして誕生したのか、その意匠や技法の特徴などを聞きながら、展示されている鍋島の名品を実際に触ることができ、非常に充実した時間を楽しまれていました。また、14代今右衛門さんとの記念撮影に皆さんの表情もにこやかでした。
 工房の見学後、併設されている今右衛門古陶磁美術館では、学芸員もされている14代今右衛門さんより、展示されている作品の歴史的背景やヨーロッパのニーズに合わせて作られたことなどを聞くことができ、「オモシロイ」と皆さんの感激もひとしおのようでした。

 この後は、嬉野の大正屋さんでの意見交換会が開かれましたが、残念ながら私どもスタッフは後ろ髪を引かれながら、皆さんと別れて帰社。翌日ワーキングメンバーの方に昨夜の様子を聞くと「異様に盛り上がった!」と、「えっ、何が?」「残念!」。
第二弾へ続く

取材協力:大有田焼振興協同組合


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