館蔵「古伊万里 侘(わび)と華(はな)―初期伊万里と金襴手」
<会期>平成16年1月6日〜3月28日
 今展示では、江戸時代の伊万里焼より「初期伊万里」と「古伊万里金襴手」両者対極とも云える様式をクローズアップし比較展示致します。草創期である1610年代から色絵磁器生産前の1640年代頃迄に製作された、枯淡で雄渾な染付を魅力とする「初期伊万里」。中国磁器の「古染付」や「祥瑞」の影響が色濃く見られ、素地は厚くぼってりと微妙に歪み、高台はそのうつわの口径に対し小さいのが特徴です。素焼きを行わず、直接釉を施した高台脇には日本磁器の歴史の第一歩を標すかのように、当時の陶工達の指跡が今もしっかりと残されています。「初期伊万里」ならではの素朴さ、親しみやすさが最大の魅力です。
 一方、1690年代に柿右衛門様式に替わり新たに台頭してきた、染付の藍色に赤・きらびやかな金彩の上絵を基本色とし、器面を埋め尽くす華美な装飾が見る人の眼を圧倒する「古伊万里金襴手」。中国・嘉靖年間(1522〜66年)に流行した金襴手の影響を受け誕生したこの様式は、経済的に豊かであった元禄年間(1688〜1704年)の繁栄を象徴するように、独創的な和様意匠の絵付けが施され、国内、国外の富裕層の人々に珍重されました。特に西欧に於いては「オールド・ジャパン」と称され、人気を博しました。中国陶磁器の模倣から出発し、試行錯誤の末に辿り着いた日本独自の精緻な色絵磁器が、海外に於いて初めて゛オリジナル"として認識されたのが「古伊万里金襴手」なのです。
 白色の器面と、呉須の藍色が織りなす「初期伊万里」独特の侘の世界。それに対し贅沢の限りを尽くし、器面いっぱいに金彩の華を咲かせた「古伊万里金襴手」の絢爛豪華な世界。今回は両者それぞれの様式が奏でる美の世界を、存分にご堪能下さい。

(左上写真:色絵弓破魔皿 伊万里江戸時代(17世紀末〜18世紀初)
(右上写真:染付楼閣山水文鉢 伊万里江戸時代(17世紀)

■展示作品 ・染付樹下人物図大深鉢 江戸時代(17世紀前期)
・色絵雲龍文鉢       江戸時代(17世紀末〜18世紀始)
・色絵菊桜文蓋付壷    江戸時代(18世紀始)
など106点


会場 財団法人 戸栗美術館
住所 東京都渋谷区松濤1-11-3
電話 03-3465-0070
入館料 一般1,030円/高大生730円/小中生420円
団体割引は20名様以上で200円割引
※アートサークル(年会費)随時受付中 3,800円/お申込当日より有効です。
交通 「渋谷駅」より徒歩10分
京王井の頭線「神仙駅」より徒歩5分
開館時間 9:30〜17:30(入館受付は17:00まで)
休館日 月曜日(祝日の場合開館、翌日休館)
URL http://www.toguri-museum.or.jp/