企画展 明治九谷の旗手 吟秋・一毫兄弟展
<会期>平成15年12月20日(土)〜2月29日(日)
  明治に入り、九谷本窯を支え続けた大聖寺藩が廃藩置県となり、九谷窯業は停滞を余儀なくされることになりました。明治前期に古九谷以来の伝統が絶えることを憂え、旧大聖寺藩の藩士たちは、九谷復興の志士として活躍したのでした。そのなかでもリーダー格が竹内源三郎(号吟秋)、浅井幸八(号一毫)の兄弟でした。明治九谷の旗手として存分にその力量を発揮したことは多くの方々が認めるところです。藩窯であった九谷本窯を維持し続けたのは元藩産物方の役人をしていた塚谷浅(号竹軒)でありましたが、そのもとで赤絵付けや販路拡張に勤めたのが浅井一毫でありました。
 その実兄、竹内吟秋は旧藩主前田利鬯(としか)公の信任厚く、藩政終末期に藩務に忙殺されましたが、やがて古九谷色絵の研究に没頭し若い陶画工を多数養成しました。そうした努力が石川県を動かし、明治12年(1879)に九谷本窯を継承した九谷陶器会社の誕生につながったのです。粗製濫造をいましめ藩政期来の伝統である逸品主義を貫こうとする九谷窯業の維持は決して順風満帆ではありませんでしたが、彼ら兄弟のもとからは良品のみを生産しようとする優秀な陶画工が数多く巣立ちました。
 そうした吟秋、一毫兄弟が生み出した明治九谷の優れた作品の数々をご鑑賞いただき、その足跡を顕彰していただければ幸いです。
 最後に、今回吟秋、一毫兄弟の作品をお貸しいただいた京都国立博物館、石川県立美術館、石川県立工業高等学校、鶏声磯ヶ谷美術館をはじめ多くの個人所蔵家のみなさまに対して心より感謝申し上げます。

■展示作品 赤絵金彩龍鳳凰図大平鉢 一毫 鶏声磯ヶ谷美術館蔵
赤絵百花山水人物図平鉢 吟秋 個人蔵
赤絵金彩瑞獣文楼閣山水図大花瓶 一毫 京都国立博物館蔵
赤絵金彩染付入龍虎図大花瓶 吟秋 京都国立博物館
ほか

会場 石川県九谷焼美術館
住所 〒922-0861 石川県加賀市大聖寺地方町1-10-13
電話 0761-72-7466
入館料 一般500円(420円)/高校生以下無料
※( )内は20名以上の団体割引料金
交通 小松空港から車で30分
加賀インターから車で10分
金沢西インターから車で40分
JR加賀温泉駅から車で15分
JR大聖寺駅から徒歩で8分
開館時間 9:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日 月曜日(祝日は開館)、年末年始(12/29〜1/1)
URL http://www.kutani-mus.jp/
併設展 常設展 魅惑の九谷優品展[後期展] 〜3月28日(日)