陶の詩人 小山冨士夫の眼と技
<会期>平成15年12月20日(土)〜平成16年3月21日(日)
 世界的な陶磁学者であり、また自らも陶芸家として作陶に腕をふるった小山冨士夫(1900−1975)。小山ほどのスケールをもつ学者は前にも後にもいないといわれています。晩年、岐阜県土岐市内に花ノ木窯を築き、安住の地とした小山は、当地、美濃にゆかりのある人物といえるでしょう。
 小山は中国の定窯(ていよう)古窯址の発見で一躍世界的に陶磁学者として知られます。また日本中世の代表的な窯として瀬戸、常滑、越前、信楽、丹波、備前を「六古窯」と命名したのは小山でした。このほかにも正倉院蔵の奈良三彩の調査など、小山は古陶磁研究で多くの業績を残しています。その造詣は広く朝鮮、日本の古陶磁から中近東、ヨーロッパの陶磁器、さらには現代陶芸にまで及びます。研究以外でも、小山は文化財保護委員として国宝・文化財指定の業務に従事し、人間国宝制度の創設をはじめ、文化財行政の骨格を作り上げた一人として大きな役割を果たしました。
若い頃から作陶の経験を持ち、自身でも独特で魅力的な陶磁器を制作した小山は、その誠実で温厚な人柄から石黒宗麿や荒川豊蔵はじめ、塚本快示、中里無庵、金重陶陽、川喜田半泥子、北大路魯山人ほか近代の代表的な陶芸家たちと幅広い交流を持ち、自ら「窯場荒らし」と称して、各地の親しい陶芸家のもとを訪ねて制作しています。そして伝統や約束事にとらわれない、自由な造形を追求しました。その天衣無縫な作風は多くの人々に愛されています。
 本展では、やきものの鑑賞や研究の楽しみを現代の私たちに伝え、破格のスケールのなかで展開した小山の生涯を、自署『骨董百話』などでとりあげられた作品や、ゆかりの古陶磁の名品、交友のあった陶芸家の代表作品、小山自身の陶磁器に研究資料など約178点を一堂に集めご紹介します。小山冨士夫の眼と技の世界を存分にご堪能ください。

■展示作品 ・重要文化財 柿釉金銀彩牡丹文碗 定窯 北宋時代(東京国立博物館)
・重要文化財 青磁棕形瓶 官窯 南宋時代(東京国立博物館)
・重要文化財 白地黒掻落龍文瓶 磁州窯 北宋時代(白鶴美術館)※
・重要文化財 青磁蓮唐草文水瓶 高麗時代(根津美術館)※
・重要文化財 灰釉魚文瓶子 瀬戸窯(名古屋市博物館)
※は展示期間限定
■特別展示 小山冨士夫ゆかりの地元開催となる岐阜県現代陶芸美術館では、これまでの巡回会場で展示されてきた展示品に加え、当館オリジナル展示を行います。オリジナル展示では、小山冨士夫の幅広い交友を物語るぐいのみコレクションや現代陶芸の紹介者としての小山の顔を紹介します。

会場 岐阜県現代陶芸美術館
住所 〒507-0801 岐阜県多治見市東町4-2-5
電話 0572-28-3100
入館料 一般1,000円(800円)/大学生700円(500円)/小中高生500円(300円)
※( )内は20名以上の団体料金
開館時間 10:00〜18:00(入館は17:30まで)
休館日 毎週月曜日(但し、月曜日が休日の場合はその翌日)、年末年始(12月27日〜1月5日)
URL http://www.cpm-gifu.jp/museum
併設展示 ・荒川豊蔵展 平成15年12月13日〜平成16年6月6日
・世界の名窯 平成15年12月13日〜平成16年6月13日
・北欧の現代陶芸 平成15年12月13日〜平成16年6月20日
関連
  イベント
●対談式ギャラリートーク 1月11日(日)14:00から
 小山岑一氏(長男・陶芸家)を展覧会場に迎え、当館館長と対談形式で会場を歩きつつ、作品について語ります。