特別展 初期伊万里展―染付と色絵の誕生―
<会期>平成16年6月2日(水)〜7月12日(月)
 江戸時代の初め(17世紀初頭)、肥前国(現在の佐賀県、長崎県の一部)で我が国最初の磁器がつくられました。この肥前磁器ははじめ中国・景徳鎮窯の影響を強く受け、染付を生産していましたが、17世紀の半ばには酒井田柿右衛門によって「柿右衛門様式」と呼ばれる色絵磁器が創案されます。
 肥前磁器はその積み出し港が伊万里港であったことから「伊万里」「IMARI」の名で知られるようになり、17世紀の半ばからオランダ東インド会社によってアジア各地やヨーロッパへともたらされるようになります。同時に、伊万里焼はその創製の段階からひろく国内需要に応えていたことも最近になって知られるようになってきました。肥前国から廻船によって日本海を北へ、越後、佐渡(現在の新潟県)、出羽(現在の秋田県、山形県)へと流通し、それぞれの所蔵者のもとで約400年近くも大切に保管され続けてきたのです。また、かつては石川県で生産されたと考えられてきた「古九谷様式」の磁器が、実際には肥前で焼かれたものであったことが明らかになりつつあります。
 そこで本展覧会では、今日でも高い評価を受け、また人気の高い肥前磁器の草創期から初期にかけての染付と色絵の名品、ならびに江戸初期に日本海側の諸国に流通し、近年の調査によってその存在がはじめて明らかになった伝世作品と出土資料、重要文化財1点を含む221件280点を展示し、「初期伊万里」の素朴かつ大胆な美しさとダイナミズムを探っていきます。

■主な展示作品
・染付山水文胴締水指  1610〜1630年代 肥前・有田 栗林コレクション蔵
・染付山水文輪花大皿 重要文化財 1640〜1650年代 肥前・有田 佐賀県立九州陶磁文化館(今泉吉郎氏寄贈)
・銹釉青磁瑠璃釉染付鳳凰銀杏文三足皿  1640〜1650年代 肥前・有田 個人蔵
・色絵瓢箪文大皿    1650年代 肥前・有田 個人蔵
 ほか

会場 大阪歴史博物館 6階特集展示室
住所 大阪府大阪市中央区大手前4-1-32
電話 06-6946-5728
入館料 特別展のみ=大人600円(540円)/高大生400円(360円)
常設展とセット=大人1,000円(940円)/高大生670円(630円)
※( )内は20名以上の団体料金
※中学生以下・大阪市内在住の65歳以上の方、障害者手帳等をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料
交 通 地下鉄谷町線・中央線「谷町四丁目」9号または2号出口すぐ
大阪市営バス「馬場町」バス停すぐ
開館時間 9:30〜17:00(金曜日は20:00まで)
但し入館は閉館の30分前まで
休館日 毎週火曜日
URL http://www.mus-his.city.osaka.jp/
関連イベント ■関連イベント
・基調講演会「肥前磁器の誕生と発展―17世紀前半を中心に―」
日時:平成16年6月13日(日)14:00〜15:30
会場:大阪歴史博物館 4階講堂
講師:大橋康二氏(佐賀県立九州陶磁文化館副館長)

・講演会「初期伊万里と古九谷様式」
日時:平成16年6月26日(土)14:00〜15:30
会場:大阪歴史博物館 4階講堂
講師:守屋雅史氏(大阪市立美術館学芸課長代理)

募集人数:各回とも250名
参加費:300円
(但し、常設展観覧券あるいはその半券を提示の方は無料)
申込方法:往復はがきに、参加者2名までの氏名、住所、電話、講演会名。返信の宛名面に返信先を明記し当館「肥前陶磁」または「古九谷」係あてにお申し込みください。締切は肥前陶磁が6月4日(金)、古九谷が6月18日(金)必着。応募者多数の場合は抽選。