■日本の器を訪ねて(1)温故創新〜有田焼〜■
今年のテーブルウェアフェスティバルの国内特集は「有田」。「温故創新」をテーマに、有田焼の今昔、これからの新しい有田焼への挑戦をご紹介するものでした。
―柴田夫妻コレクション「江戸期に見るうつわたち」―
 西日本一を誇る、陶磁器美術館「佐賀県立九州陶磁文化館」。ここには世界最大級とも言われる古伊万里コレクション「柴田夫妻コレクション」が所蔵されています。今回、江戸期の有田の器を紹介しようと、この「柴田夫妻コレクション」から108点が、東京ドーム内に展示。江戸初期・前期・中期・後期に分類され、それぞれのコーナーで、当時の食卓を再現したディスプレイが行われました。普段美術館などで鑑賞するのとは、違った趣で作品を見ることができます。「江戸期の技術の高さがよくわかる」「今見ても古いという印象はないですね」と、みなさんじっくりと鑑賞されていました。

※柴田コレクションについてはこちら→


時代順に展示された古伊万里たち。実際に料理を盛り付けた写真も展示

「これは素敵ね」と思わず、足が止まって

花唐草、蛸唐草と様々な唐草文様をあつめたお膳。染付のブルーが朱色にはえる

金襴手の徳利に、瓔珞文様のぐい呑み。お祝いの席でしょうか


―明治に思いを馳せる器―
 ここでは、有田の老舗・香蘭社の明治期の器を紹介。香蘭社は約三百年前の元禄の頃、初代深川栄左ヱ門が有田で磁器の製造をはじめたのが始まりです。1875年、欧米の「カンパニー」に倣った組織が必要と八代深川栄左ヱ門が、有田の有志とともに合本組織香蘭社を設立しました。明治期には、装飾華美で技巧的な様式のものをつくりあげ、こういった作品は万国博覧会に次々と出品され、世界から高い評価を受けました。明治期の有田焼というと、大花瓶を思い出す人も多いと思いますが、今回はポットやカップなどの器が展示。どれも金襴手の豪華なものばかりです。

※香蘭社についてはこちら→


豪華な器が並びますが、展示パネルが少ないのか少し寂しい感じもしました

これは黒っぽい地に、華やかな色彩で絵付けが施されています