■日本の器を訪ねて(1)温故創新〜有田焼〜■
今年のテーブルウェアフェスティバルの国内特集は「有田」。「温故創新」をテーマに、有田焼の今昔、これからの新しい有田焼への挑戦をご紹介するものでした。
―有田焼窯元による暮らしの提案―
 有田には本当にたくさんの窯元さんや、陶磁器販売店があります。今回はその窯元・作家・商社のなかから16軒が参加して、おすすめの器を展示しました。白磁あり、染付あり、色絵ありと磁器の多様な表情をうかがえます。また昨年、厚生労働大臣が表彰する「現代の名工」に選ばれた、陶芸家の奥川俊右衛門さんの器も注目を浴びていました。


「私だったらあれが欲しいな」ここで購入できなかったのが、ちょっと残念


―伊万里鍋島焼による暮らしの提案―
―肥前吉田焼による暮らしの提案―
 佐賀はやきものの故郷。有田焼以外にも、陶器・磁器と様々なやきものに出会うことができます。ここでは伊万里・鍋島焼と、肥前吉田焼の磁器の器が紹介されていました。伊万里・鍋島焼は、かつて鍋島藩の御用窯にて生産されていたもの。その高い様式美は、現在もなお多くの人々を魅了しています。 また肥前吉田焼は、お茶どころ・温泉どころとして有名な嬉野にて生産されています。名産・嬉野茶があることから、新製品の茶器の開発なども行っています。


伊万里の人気ブランド「畑萬陶苑」のもの。器の中央に入った、赤と青の縦の菱文が新鮮です。

肥前吉田焼によるテーブル。肥前吉田焼はカジュアルに気軽に使えるデザインです


―白磁再生―
 新しいコンセプトの有田焼「エコポーセリン」。実はこれ、リサイクル商品なのです。やきものを作る工程で出る規格外品は、産業廃棄物として処分されていました。しかし、有田焼の原料となる陶石は限りがあります。この資源を有効活用しようと、今まで廃棄していた原料を再利用してつくられた器が「エコポーセリン」なのです。通常の器とは品質も変わらないような高品質。デザインもシンプルで使いやすいものが開発されています。今回の展示では、名ろくろ士として知られる、中村清六さんによる、有田初期白磁碗を再現したエコポーセリンが注目されました。私たちの生活にどうやってリサイクル器が浸透していくのかが、今後の課題となっていくでしょう。


「これがリサイクル品なの?」とちょっと皆さん驚きの表情

デザイナーにより企画された、シンプルなエコポーセリン