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ザ・コレクション 現代若手作家編飲兵衛の蒐集物語
《その6》

 唐津焼でもっともポピュラーな技法が絵唐津です。素地に、鬼板とよばれる鉄の顔料を用いて絵付を施し、その上から透明釉を薄くかけたものです。絵付けをする際には、筆だけではなく指でも描かれ、奔放なタッチと力強さが魅力のひとつです。文様は抽象文や幾何学文、人物、動物、草花などが多く、向付、皿、鉢などによく使われます。
絵唐津ぐい呑み 中里鉄也・作
 ふっくらとしたボリュームのある形に、奔放な線による絵付けが楽しさを感じるぐい呑みです。手に持つと、反対に手がぐい呑みに包みこまれているような感覚になる一品です。
絵唐津ぐい呑み 丸田宗彦・作
 口縁に鉄絵がぐるりと施されているぐい呑みです。こういった絵唐津を特に「皮鯨(かわくじら)」ともいいます。ちょうど口縁の部分が、鯨の皮身のように見えるので、この名がついたそうです。
絵唐津馬上杯 丸田宗彦・作
 胴の正面に、すみれと思われる花が絵付けされています。このような形の、高台が高く、腰高の盃を馬上杯(ばじょうはい)といいます。腰の部分をぎゅっと握って飲めば、馬の上で飲むのも安定しているからこの名が付いた。また腰が高く馬の上にいるような形なのでこの名がついたとも言われています。
絵唐津ぐい呑み 中里鉄也・作
 雨だれのようなシンプルな幾何文。器全体のグレー調の釉薬の変化もおもしろく、高台付近のかいらぎも、細かく現れています。波を打った口縁が、酒の口当たりを優しくしてくれそうです。
絵唐津徳利 岡本作礼・作
 あっさりとした釉薬で、手触りがつるりとした感触の表面に、これまた自由奔放な草文があしらわれています。すっきりとした佇まいは、暑い夏の夜でも軽やかに使えそうです。
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