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ザ・コレクション 現代若手作家編飲兵衛の蒐集物語
《その7》

三島唐津馬上杯 府川和泉・作
 三島唐津とはいわゆる象嵌のこと。素地がまだ乾かないうちに浅い彫りをいれたり、スタンプ状のものを押し付けて、文様を施します。そしてその上に、異なった色の土を塗ってさっと削り取れば、窪みにその土が残ります。結果として文様に異なった土を埋め込んだようになります。この作品も、花形のスタンプ(印花)を全体に施してある、優しい雰囲気の杯です。
刷毛目唐津杯 川上清美・作
 地の土の色が黒い場合、白磁に似せるため白土をかけて白くすることを白化粧といいますが、これを刷毛で行い、塗り目の現われたものが刷毛目です。この無造作な刷毛目の変化が面白く、人気のある陶器の技法となっています。この盃は、見込みと器の外側に、勢いのある刷毛目があることで、実際のサイズよりも大きく感じます。
無地唐津ぐい呑み 吉野靖義・作
 あえて装飾を施さず、釉薬をかけただけのシンプルなぐい呑み。器全体に貫入が入っており、静かな貫禄を漂わせています。高台付近に流れた釉薬のたまりがアクセントになっています。
黒唐津徳利
川上清美・作

 鉄分の多い釉(うわぐすり)のため、飴色や黒褐色または淡黒になった唐津焼を黒唐津といいます。この作品はどちらかというと、緑色がかった変化になっていますが、釉薬の滴り落ちる様子と土の内側から発せられているような輝きが、まるで生き物のような印象を与えます。
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